教科書のデータを収めたタブレット端末で学ぶ「デジタル教科書」が平成32年度から導入される方向となり、デジタル教材を提供するNTTコミュニケーションズなど大手は、共通の基盤作りを始める。また、政府は32年度までに全国の小中学校・高校に無線LANを導入。児童・生徒や教師がインターネットで教材を容易に入手できる環境整備が官民で進みつつある。(高橋寛次)
総務省の実証事業はNTTコムや学研ホールディングス(HD)が教材を提供。また、ベネッセHDとソフトバンクの合弁会社やリクルートHDなどもデジタル教材の関連事業を行っている。
現在は、各社の教材を入手する場合、それぞれ異なるIDやパスワードを入力する必要がある。今後、各社は1つのID、パスワードですべての教材を取得できるよう、共通の基盤を構築する方針だ。
人気のある教材をランキング形式で表示し、上質な教材の普及を促す効果も期待されるという。また、立体的な図形を角度を変えてみたり、地図を拡大して地形や街の様子などを確かめたりするなど、従来の冊子型教材にない機能を生かし、理解を深めることもできる。
総務省幹部は「言葉で教えにくい内容を伝えられる」と、デジタル教材の利点を強調する。
今月、閣議決定された政府の成長戦略では、「教育の情報化を進めていく上で、教育コンテンツの活用や子供の学習情報などをクラウド上で管理・共有していくことが有効だ」と明記した。政府は26年度に27.2%だった無線LANの普通教室への整備率を32年度までに100%に引き上げる目標を掲げている。