発展途上国の弱い立場の生産者の経済的自立を目指し、公正な価格で商品を取引する「フェアトレード」への関心が近年、日本で高まりを見せている。百貨店に専門ショップが入店したり、大手企業が商品開発に取り組んだりするなど市場が拡大している。
色鮮やかでスタイリッシュな服飾品が並ぶ阪急百貨店梅田本店(大阪市)内の「Love&sense」。2012年、フェアトレード商品の専門店として初めて百貨店に常設された。
設立者の高津玉枝さん(55)は関心がない層に働き掛けるため、誰もが知っていて気軽に立ち寄れる商業施設に店舗を置くことにこだわった。
「途上国の人がかわいそうだという理由だけでは、消費は続かない。『かわいい』『面白い』と思って商品を手にしてもらい、関心につなげたかった」と高津さん。
客の大半は趣旨を知らずに来店。生産者の情報を伝えると購入に意欲を示す客が多く、リピーターも増加している。
原材料の生産から輸出入、製造の全過程で基準を満たした商品に付けられる「国際フェアトレード認証ラベル」の日本でのライセンス事業を行うNPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京)によると、認証製品の日本市場は世界市場の約1%にすぎない。
だが05年に約5億2000万円だった国内市場規模は、15年に約100億円と20倍に拡大。16年1月現在、約170の企業や団体が参加し、製品は衣類や調味料、花など多岐にわたる。