経営再建中のシャープの2016年3月期連結決算は、最終損益が2000億円規模の赤字(前期は2223億円の赤字)になる見通しであることが29日、分かった。液晶事業で苦戦し、2年連続で大幅な赤字を計上する。業績予想では、最終損益を「未定」としていた。
シャープを買収し立て直しを目指している台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は30日に取締役会を開く。買収を決定する可能性が高い。両社は31日にも契約を結び、4月2日に工場がある堺市で記者会見を開く方向で調整している。
シャープの業績をめぐっては、鴻海は在庫評価損の追加処理などを求めており、赤字額はさらに拡大する可能性もある。本業のもうけを示す営業損益も900億円程度の赤字に転落するもようだ。従来予想は100億円の黒字だった。
シャープは29日、「中国市場の市況悪化に伴う販売不振などにより、業績予想の下方修正を検討している」とのコメントを発表した。
主力の液晶事業が業績の足を引っ張った。中国の景気減速などでスマートフォン向けの中小型液晶パネルが想定より売れなかった。亀山工場(三重県亀山市)でテレビ向けパネルの生産を抑えたことも響いたようだ。
シャープの再建をめぐっては、鴻海が業績悪化のほか、「偶発債務」と呼ばれる財務リスクに懸念を示し、買収交渉が長引く要因となっていた。
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【用語解説】シャープの業績
液晶テレビの販売不振で、連結最終損益は2012年3月期から2年連続で巨額の赤字を計上。14年3月期は黒字を確保したが、15年3月期は2223億円の赤字に陥った。中期経営計画を策定し再建を図ったが、中国経済の減速なども影響し、低迷から抜け出せていない。経営再建に向け、台湾の鴻海精密工業から出資を受ける交渉を進めている。