北海道新幹線開業も前途多難 厳しい経営構造、地域の足にしわ寄せ (2/4ページ)

  • 入線するJR北海道の新型車両H5系

 日本政策投資銀行北海道支店の試算によると、新幹線が道内にもたらす経済効果は年間136億円。首都圏などから道南への人の流れが13万人増え、宿泊や飲食といった直接効果が73億円、道内産業への間接効果も63億円に上る。石井啓一国土交通相は「移動時間の短縮によって、観光交流の活発化や地域経済の活性化に役立つだろう」と25日の閣議後会見で述べた。

 ただ、新幹線の開業はJR北海道の経営には重荷となる。

 東京-新函館北斗の最短所要時間は4時間2分。空路より新幹線が優位に立つとされる“4時間の壁”を破れず、函館駅までは連絡列車に乗り継ぐ必要もあるため、想定乗車率はわずか26%にすぎない。

 島田修社長は「予約率の引き上げに全力を挙げたい」と力を込めるが、開通から30年を経た青函トンネルの維持費や除雪費ものしかかり、開業後3年間は毎年48億円の赤字を見込む。

交通網の選択と集中