四国電力は25日、運転開始から40年近い伊方原発1号機(愛媛県伊方町、56万6000キロワット)の廃炉を決定したと発表した。同日午前の取締役会で決議した。廃炉予定日は5月10日。原発の運転期間は、原子力規制委員会が認めれば最長20年の延長が可能だが、多額の安全対策費がかかるため投資に見合う収益が得られないと判断。2011年9月に定期検査で停止した1号機を再稼働させないことにした。一方で3号機は7月再稼働を目指す。
四国電の佐伯勇人社長は25日午前、松山市の愛媛県庁で中村時広知事と会い、廃炉方針を伝えた。5月10日で伊方1号機は同社の発電設備から外され、今後、具体的な作業が始まる。四国電の判断は、老朽原発を運転延長するか廃炉にするか検討している他電力に影響を与える可能性がある。
東日本大震災後、新規制基準の下で老朽原発の廃炉を決めたのは関西電力美浜原発1、2号機(福井県)や九州電力玄海原発1号機(佐賀県)などに続き6例目。
佐伯社長は廃炉の理由を、電力供給力や安全対策のコストなどを「総合的に判断した」と説明。中村知事は「(多くの課題に)向き合った結果と受け止めている」と応じた。
伊方原発1号機は来年9月に原発の40年規制の期限を迎えるため、運転延長には事前に規制委へ申請する必要があった。四国電は対応を検討したが、電源ケーブルの安全対策費などで少なくとも一千数百億円規模の投資が必要となることが分かり、費用に見合う効果を得られるか見極めた上で廃炉を選択した。