NTTが米パソコン大手デルのITサービス事業の買収に向けて最終調整していることが8日、分かった。実現すれば買収額は4000億円超になるとみられる。人口減少などで国内の通信事業の大幅な拡大は見込めない見通しで、買収により海外事業の育成を急ぐ。
国内の通信業界ではソフトバンクグループが米携帯電話大手スプリントを買収するなど海外への事業展開が続いており、今後も同様の動きが加速する可能性がある。
デルはスマートフォンの普及に伴うパソコン市場の縮小で経営環境が厳しく、医療分野のシステムなどに強みを持つITサービスの売却を検討している。NTT子会社のNTTデータが買収し、資金面でNTTが支援する方向だ。
買収する事業の範囲などで詰めの協議を行うもようだが、金額や時期といった条件面で折り合えるか流動的な面もある。NTTの海外売上高比率は2015年3月期で14%にとどまる。18年3月期の海外売上高は、15年3月期に比べ約5割増やし、220億ドルにする目標を掲げている。
NTTは既に南アフリカに本社を置くIT大手、ディメンション・データを約2860億円で買収。NTTデータは米国のITサービス会社キーンを買収した。ソフトバンクグループが米スプリントを約1兆8000億円で買収したほか、KDDI(au)もミャンマーの携帯事業に参入している。