食肉加工品製造販売の信州ハム(長野県上田市)の主力商品で、化学合成添加物を一切使わないハムやソーセージの「グリーンマークシリーズ」が発売から今年で40周年を迎えた。発売当初、素材のままの白みがかった色合いが消費者に敬遠されていたが、今や健康志向の高まりを追い風に同社の売り上げの4割を占める主力商品になっている。同社は「安心で安全な商品を届けたい」と一層の普及に取り組んでいる。
◆始めたらやり通す
「加えているものが少ない分、原料の味を感じていただける。単に『おいしい』というだけではないのが魅力です」
信州ハム企画販促課の中村潤一課長(41)はこう胸を張る。
セールスポイントは「生の肉に近い素朴な味」。試すと加工食品とは思えない“素”の風味が口いっぱいに広がり、「肉系」にはうるさい、わが舌も降参するしかなかった。
発色剤を使っていないため、一般的なハムやソーセージのような明るいピンク色でなく、肉本来の白みがかった褐色なのが特徴。保存料や酸化防止剤とも一切無縁であるがゆえに、賞味期間は食肉加工品が通常30~50日のところ、グリーンマークシリーズは15~20日程度だ。
高度経済成長期の1970年代、人工甘味料などに発がん性があるとされ、食品添加物が社会問題となっていた。当時、民間消費者団体が「化学合成添加物を使わない商品を開発してほしい」と大手メーカーに持ちかけた。しかし、発色剤の使用は当たり前で歯牙にもかけられず、中小企業の信州ハムに、お鉢が回ってきた。
最大の課題は“ドーピング”なしで賞味期限をいかに延ばすかだった。そこで仕入れ時の原料や産地、製法などに厳格な規格・基準を設定した。商品をパッキングする無菌状態のクリーンルームでは、外部からのほこりや菌の侵入を防ぐために空調の流れを一方向にするなど工夫を重ねに重ねた。