山岳地や長距離には不向き
一方、EV-E301系は「フル充電、平坦(へいたん)路線、無停止で約50キロの走行が可能」という性能にとどまるため、小海線のような山岳路線や長距離の運転には向かない。また、電化区間に直通運転して充電時間を稼げる路線なら都合が良い。まず烏山線に配備されたのはそうした条件が合致していたからだ。
ローカル線の電化は費用対効果で割に合わないが、EV-E301系の導入費用は充電設備と2両1編成を合わせ18億円。車両価格は量産すれば安くなる。JR東日本は将来的に烏山線の全車両を入れ替える方向で改良点などを調査しており、路線条件が似た秋田県の男鹿線(追分-男鹿)にも投入するとみられる。
蓄電池駆動電車をめぐっては、JR九州も16年秋から福岡県の筑豊線(若松-原田)の一部で走らせる計画。バッテリーの性能が向上していけば、活躍の舞台は日本全国のローカル線へと広がるかもしれない。(山沢義徳)