そこでまず2010年に技術検証用の「クモヤE995形」を開発、その実験結果を反映させたのが昨年3月に営業運転を始めたEV-E301系だ。烏山線に2両1編成が配備され、1日14往復のうち3往復がこの車両で運行されている。
終着駅の烏山駅構内には大電流に耐える頑丈な「剛体架線」を設けており、その下でパンタグラフを上げて急速充電する。その電力で宝積寺駅まで非電化の約20キロを走行。さらに電化区間の東北本線宇都宮駅まで直通運転する間、走りながら充電する仕組みだ。
開発で苦労したのは「かさばるバッテリーをどう積み込むか」(松井課長)だったという。バッテリーには劇物の希硫酸が充填(じゅうてん)されているため、試験車両では車内に設置したが、客室内には置けない。そこで、危険のないブレーキ制御装置を客室内に移してバッテリーは床下に配置。また走行に十分な電力量を確保するため、2両固定編成とした。