VWはどのように米国の排ガス規制を不正に逃れたのか。Q&A形式でまとめた。
Q 何が問題となっているのか
A ディーゼルエンジンは燃費は優れているが、窒素酸化物(NOx)など有害物質を排ガスに多く含むことが問題だった。光化学スモッグなど大気汚染の原因とされるNOxは排出量が各国で規制され、日本では乗用車は1キロメートルの走行当たり0.08グラム以下に抑えなければならない。VWは米国の一部ディーゼル車で試験時は規制をクリアし、実際の走行時は基準の最大40倍を排出していた。
Q 不正の手口は
A VWはエンジンを制御するコンピューターに違法ソフトを搭載し、加速など走行条件から「試験中」かどうかを検知。試験中はエンジンに付いたNOxを低減させる浄化機能を正常に稼働させるが、通常走行時は稼働させない仕組みだったとの見方が出ている。また、一般的にエンジンへの燃料噴射を濃くすればNOxの排出量は少なくなる一方、燃費は悪くなるとされる。燃料噴射を濃くして試験をクリアし、通常走行時は薄くすることで燃費の良さをアピールする狙いがあった可能性も指摘されている。
Q ほかの自動車メーカーへの影響は
A 「クリーンディーゼル」を技術の柱とするマツダは、燃料の軽油と空気を効率的に混合して排ガスに含まれるNOxを低減する技術を開発した。排ガスの浄化自体が不要な構造で、VWのように違法ソフトを使う可能性はない。トヨタ自動車は6月に改良した「ランドクルーザープラド」でクリーンディーゼル車を発売したが、VWとは異なる技術でNOxを最大99%浄化するシステムを採用している。