住友生命保険、明治安田生命保険が巨額の買収資金をつぎ込み、来年に米国進出を果たす。今年2月に米生保の子会社化を完了した第一生命保険に追随する形となった。これまでアジアの新興国の成長を取り込もうとしてきた生保業界が、なぜ今、米国なのか。背景には、安定した成長市場への参入機会を逃したくないという危機感があったようだ。
好業績のうちに
世界のM&A(企業の合併・買収)市場をめぐっては、「日本の保険会社に案件を持ち込め」が合言葉になっている。
日本生命保険も含めた大手4社は、円安下で運用している外国債券の利息収入が大幅に増加するなどして収益規模は過去最高水準にある。
契約者に約束した保険商品の運用利回りを実際の運用利回りが下回る「逆ざや」状態も2015年3月期の住友生命を最後に、4社すべてが解消し、各社が収益基盤の強化に向け海外に着目し始めた。日本の人口が減少する中、10~20年先の国内市場は先細りが懸念され、好業績の今のうちに買収して海外市場を攻めるという経営判断だ。