ビール業界2位のキリンビールの復調ぶりが鮮明になってきた。ビール大手5社が10日発表した2015年上期(1~6月)のビール類(発泡酒、第3のビール含む)の課税出荷数量で、キリンのシェアは前年同期比0.9ポイント増の34%と、09年上期以来6年ぶりのプラスを確保した。主力のビール「一番搾り」への経営資源集中が奏功したためで、過去最低のシェアに落ち込んで“独り負け”と呼ばれた昨年の汚名を返上した。
市場全体は0.6%減の1億9575万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と、上期としては3年連続で過去最低の更新となった。その中でキリンの出荷数量は2.2%増となり、大手5社中で唯一プラスを達成。昨年上期が6.6%減で発射台が低かったとはいえ、昨年上期に首位のアサヒビールと5ポイント開いたシェア差を今回は4.1ポイントまで縮めた。キリンビールの布施孝之社長は10日発表した声明で「復活への手応えを感じている」と述べた。
上期のキリンの浮上を支えたのが一番搾りだ。キリンはビールと発泡酒、第3のビールの販売比率が3割前後ずつという構成で、各分野の主力ブランドへの資源配分を優先するあまり「何が軸なのか、お客から見えにくい状態」(布施社長)だった。