訪日外国人が増える中、お祈りの習慣を持つイスラム教徒(ムスリム)を受け入れるため、礼拝室(祈祷(きとう)室)を設置する空港や商業施設などが相次いでいる。ムスリム誘致としては、イスラム教の教えに基づく食の提供に続く動きだが、現状では在日ムスリムでさえ場所を探すのに苦労している。礼拝できるところを選んで買い物をしたり旅行に行ったりするムスリムは少なくなく、礼拝室設置はビジネスチャンスをもたらす。こうした時流を捉えディスプレー大手、丹青社はハラル・ジャパン協会と組みユニット型礼拝室を開発、拡販に乗り出した。
那覇空港国際線旅客ターミナルビル4階ロビーに3月、丹青社のユニット型礼拝室「プレイヤールーム WANOMA(和の間)」が設置された。するとフェイスブックに「神に感謝します。快適そうだ」「成田と羽田も続いてほしい」といった投稿が相次いだ。
2日で組み立て
那覇空港ビルディングは2014年2月の新国際線ビル供用開始後、増加する外国人乗降客の受け入れ態勢整備の一環として開設した。特定の宗教を想定していないが、4畳半ほどのスペースに、ムスリムが礼拝する方向を示す方位図が天井に取り付けられ、手足を清める場所や礼拝用マットを設置。部屋は男女別々。お祈りに必要な環境を全てそろえた。その上で「和の間」と命名したように、地元の琉球畳や掛け軸、日本伝統の格子で間仕切りするなど「日本ならでは」を表現。将来のLCC(格安航空会社)拡張を見込んで、ムスリムが多い東南アジアからの観光客を迎え入れるための先行投資に踏み切った。