--触媒役のNTTのうまみは
「法人向け事業にシフトするNTT東西は“BツーBツーX”のビジネスになるが、Xは行政や地場産業や観光などさまざまだ。新しいサービスが生まれればクラウドなどのビジネスモデルで稼げる」
--「新しいサービス」は容易に生まれるのか
「ICT分野の新サービスは既存のエコシステム(市場構造)では難しい。岩盤のようなエコシステムがある日本では、コラボレーション(協業)しかない。破壊ではなく、うまく塗り替えるような。米国式でない共存型ビジネスモデルは、アジアなど新興国でその国の多様なエコシステムに対応できる。東京五輪や政府の地方創生政策はいい機会になる」
--東京五輪では通信環境の整備やセキュリティーが大きな課題だ
「競技会場や鉄道などで通信環境の標準化が必要だ。ゴールドパートナーとして約20カ所の競技会場で通信設備を構築する権利があるため、仲間作りをして統一した環境を整える。セキュリティーでもコラボしないと脆弱(ぜいじゃく)な部分から破られる。日本式の共存型ビジネスモデルを作る契機にしないといけない」
--民営化30年をどうみてきたのか
「局面、局面で苦労はしたが、5兆円の売り上げが市場全体の半分の11兆円に増えたのだから、民営化は成功といえる。市場の大きな変化にかなり対応できているのではないか」