そんな中で注目されているのが、既にいる社外監査役を社外取締役に横滑りさせる方法。5月の会社法改正で、新たに生まれる「監査等委員会設置会社」に変身してしまおうというのだ。新形態を採用すれば、監査役は不要になり、取締役会に社外が過半数を占める監査等委員会を置くことになる。
上場企業には既に複数の社外監査役の設置が義務付けられているから、社外監査役ならばすでにどの会社にもいる。これを社外取締役にしてしまえば良い、というわけだ。
既に100社近い会社がこの新形態に変更すると見られる。確かに、これなら実質的な社外の人数を増やさなくても「ルール」は順守できる。数合わせはできるのだ。だが、それで本当に会社のコーポレートガバナンスは強化されることになるのか。従来以上に外部の目を社内に取り込むことになるのか。
もちろん、新たに社外から取締役を招いても問題は同じだ。本当に機能する取締役会とは何か。各社の経営者が真剣に議論すべきことだろう。
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【プロフィル】磯山友幸
いそやま・ともゆき 早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務めて、2011年に独立。52歳。