日本百貨店協会が21日発表した3月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比19.7%減と、消費増税前の駆け込み需要があった昨年から大きく落ち込んだ。ただ、特殊要因のなかった一昨年比では0.6%増。4月は前年比2割増で推移している。国内富裕層の消費が旺盛で高額品が売れているほか、賃上げなどを追い風に一部で中間層の消費が戻り、明るい兆しが見え始めた。
「最近、100万円単位の腕時計や宝飾品が富裕層にも売れるようになった」。松屋銀座本店の宝飾時計サロン係、徳万恵理マネジャーはこう語る。
増税後、100万~300万円する高級腕時計などを買うのは、主に訪日客だった。しかし、昨年11月ごろから富裕層の消費が回復。4月の宝飾・時計の売上高のうち、富裕層と訪日客の占める割合は半々になった。「株高の効果で特に50、60代が動いている」(徳万マネジャー)という。
宝飾・時計の売上高そのものも、1年前の3倍、2年前の2倍となっている。業界全体では、3月の全国百貨店の美術・宝飾・貴金属の売上高が、特殊要因のなかった2年前の17.8%増となった。