【ワシントン=小雲規生】トヨタ自動車は15日、メキシコに新工場を建設すると正式に発表した。中国・広州市の既存工場に新たな生産ラインを増設することも併せて発表した。トヨタの工場建設は2013年4月に新設を凍結して以降で初めてとなる。トヨタは既存工場の稼働率や生産性の向上を進めており、一定の体質強化が進んだと判断、工場新設に踏み出す。
メキシコのグアナファト州に10億ドル(約1200億円)を投じて新工場を建設し、19年からカローラの生産を開始する。生産能力は年約20万台で、約2千人を新規雇用。今年発売の新型車から採用する車台や部品の共通化戦略「TNGA」に基づいた車づくりを導入するモデル工場にする。
北米トヨタのレンツ社長は「北米への新たな投資で今後数十年にわたって顧客のニーズにより適切に応えることができる」としている。
また、中国では17年中に現地合弁会社、広汽トヨタの広州市南沙区の工場に新たな建屋を建て、3つ目のラインを設置する。投資額は約525億円。生産能力は年間約10万台で、需要に応じて拡大を検討する。トヨタは中国での新車販売台数が14年に初めて100万台を突破しており、ライン増設で需要増に対応する。
リーマン・ショック後に赤字に転落したトヨタは安易な拡大路線に距離を置き、13年4月から工場の新設を凍結。「意志ある踊り場」(豊田章男社長)として、体質改善の取り組みを優先していた。