【早坂礼子の経済ウォッチング】
いま宅配便需要の約9割を占めているのは、企業から企業(B to B)、企業から個人(B to C)への“ビジネスユース”だ。実店舗には足を運ばず、ネット通販などモノを取り寄せる購買スタイルが定着して、小型で軽いモノを多頻度で届けるビジネスが主流になっている。宅配便各社の成長の鍵はこうしたビジネスユースをどう取り込むかにかかっている。
最大手のヤマト運輸は羽田に大規模物流センターを建設して、配送のスピードアップや付加価値を提供する「バリューネットワーキング構想」を進めている。同社は「宅急便は幹線道路から届け先の軒下までのラストワンマイルを担ってきたが、これからは単にモノを運ぶだけじゃダメ。川上から川下まで客のニーズに合ったきめ細かなサービスの提供が求められている」(広報課)としている。
もともと企業間物流に強みを発揮してきた業界2位の佐川急便も、荷主のニーズに寄り添う対応を強化している。佐川グループ各社から製品の組み立てや梱包などの流通加工や、国際調達、情報技術(IT)などの専門知識を持つ人材が集まり、客の潜在需要の掘り起こしに務める合同営業開発チーム「GOAL」の結成はその一例だ。同社の施設内で顧客に代わって商品ジャンルや行き先別に荷物の仕分けを行い、客の要望する時間に配達する「スマート納品」も好評という。