私は、サイト売買という市場が誕生して間もない2006年から、ウェブサイトを売りたい人と買いたい人を橋渡しする仲介ビジネスに携わっている。先ほどの化粧品のネットショップのように、インターネット上でのオーナーチェンジをお手伝いする不動産屋さんというイメージだ。
この間、ウェブサイト売買という市場が日本全国に広がるにつれて、仲介者を通さず、当事者間のみで売買取引を行うというケースも多くなった。しかし売買に慣れていない当事者間での取引の場合には、売買後に「聞いていたサイト運営情報が違っていた」「事業の引き継ぎが十分にされなかった」「売買契約書の内容に不備があった」というようなトラブルが起こりやすく、実際、耳にすることが増えてきた。
そこで、14年2月に一般社団法人日本サイトM&A協会を設立し、ウェブサイトの売買に特有の専門知識をもった仲介者を全国に育成するとともに、サイト売買の公正な取引基準を作り、健全なサイト売買市場を創造することを目的として、教育と啓蒙(けいもう)活動を行っている。
今回の連載ではサイト売買の留意点、仲介者の役割、今後のサイト売買市場の行方などを解説する。
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【プロフィル】和家智也
わけ・ともや 筑波大基礎工卒。2001年SBSホールディングス入社。06年ゼスタスを設立し、代表取締役。同年サイト売買マッチングサイト「サイトレード」の運営を開始。14年日本サイトM&A協会を設立し、代表理事。36歳。愛媛県出身。