ロシアの通貨ルーブルの急落が、現地に進出した日系自動車メーカーを直撃している。物価や為替相場の変動が激しいため、一部車種の新規受注を停止したり、大幅な値上げに踏み切ったりするなど販売戦略の見直しを迫られている。欧州第2の自動車市場を取り込もうと各社は生産・販売の拡充に力を入れてきたが、手持ち通貨をクルマに変えて資産防衛を図ろうとする消費者が販売店に押し寄せるなど混乱が広がっている。
「正直言って、これほど(為替の)変動が激しいなかでビジネスをするのは難しい」。日産自動車のカルロス・ゴーン社長はロシア市場への懸念を隠さない。
同社は提携する仏ルノー、露アフトワズとの3社連合でロシア市場で約3割のシェアを占める。だが、ルーブルの急落で完成車や部品の輸入コストが増大。赤字が広がらないよう、日本など他国から輸入して販売している一部車種の新規受注を停止したという。
マツダは日本からの輸出を減らしたほか、現地組み立て生産も減産を検討。トヨタ自動車も、値上げで販売量を調整する方向だ。ロイター通信によると、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独アウディなども販売店への納入を中断しているという。