三井住友信託銀行は月内に台湾の金融大手、中国信託金融ホールディングと包括的な業務提携契約を結ぶ。日本やアジアで取引先企業の相互紹介や協調融資などを行う。成長著しいアジアで金融ネットワークを強化し、海外収益の拡大を狙う。
両社は2年前に不動産事業で提携し、三井住友信託が台湾の富裕層に首都圏の高級マンションなどを投資物件として紹介するなど協力関係にある。
新たな包括提携に基づき、三井住友信託は取引先の日本企業がアジア進出などで現地通貨を調達する際、中国信託を紹介する。中国信託の取引先のアジア企業が大規模な資金調達を行う際には協調融資も行い、アジアでの取引先の開拓につなげる。
個人向けでも台湾や東南アジア向けの金融商品の共同開発などで協業する。
三井住友信託は2016年度に海外の企業向け融資残高を13年度比4割増やす計画。15年にはタイに現地法人を立ち上げる。自前拠点拡大と並行して、海外金融機関との連携も急ピッチで進める方針で、インドでも現地財閥が設立する新銀行への出資を予定している。
中国信託は銀行や保険など総合的な金融事業を手がけ、傘下銀行は中国やインド、東南アジアに拠点を持つ。6月には東京スター銀行の全株式を取得し、海外の銀行による邦銀買収の第1号案件となった。地方銀行との提携も広げている。