一方で、非製造業は6ポイント下落と2ポイント下落との市場予想より大きく下振れた。甘利明経済再生相は9月30日の記者会見で「(増税前の駆け込み需要の)反動減の収束に手間取っている」と指摘。夏場の天候不順も重なり、内需型を中心に企業マインドが悪化した。
中小企業も製造業、非製造業とも2期連続で悪化。千葉県市川市の人材派遣業社長は「良いのは大企業のみで、(海外売上比率の低い)中小企業に恩恵は及んでいない」とこぼす。
先行き3カ月後の業況判断DIもほぼ横ばいと企業は慎重な見方を崩していない。日銀は「企業は内需の回復に疑心暗鬼」とみる。景気回復のもたつきが続くようだと、政権内部や市場では追加緩和期待が高まる可能性がある。
この2カ月で約8円も下落した円安への警戒感もある。26年度の大企業製造業の想定為替レートは100円73銭で、110円台に突入した足元との差は大きい。神戸製鋼所では1円の円安で輸入する鉄鉱石が値上がりし3億円の営業利益押し下げ要因になる。
経団連の榊原定征会長は「これ以上の円安は日本全体にとってマイナス影響が大きくなってくる」と指摘。円安が輸入物価の上昇などを通じ、内需型の非製造業や中小企業にコストアップという副作用をもたらす点に配慮する。
今回の景気回復は非製造業を中心とした内需主導型だっただけに、一段の円安は個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある。安倍首相は年末までに消費税再増税を判断する。東京都品川区の運送業者「ハーツ」の山口裕詮社長は「財政問題を考慮すると消費税率の引き上げは必要だ」としながらも、「経営者の立場からすると見送ってほしい」と苦しい胸の内を明かした。