2014.8.31 17:30
地方を中心とした再編が取り沙汰される銀行界で、りそなホールディングス(HD)の動向が注目されている。実質国有化された「りそなショック」から約11年。りそなは7月、国が議決権を持つ株式をすべて買い取り、一段と経営の自由度を高めた。「スーパー・リージョナル・バンク」と呼ばれる地方銀行を含めた再編構想が政府内に浮上し、その旗頭になるとの観測もある。りそなは何を目指すのか。
「M&A(企業の合併・買収)で先行する米国でも、規模の拡大を優先させた再編は、まずうまくいっていない。統合を経て互いにコア(中核ビジネス)を強化できるかが前提だ」
りそなHDが預金保険機構から1960億円の優先株買い取りを決定した先月月末の臨時取締役会。会議の終了後、東和浩社長は社外取締役とこう話し、米国の金融再編の歴史に触れながら、自身の念頭にある再編戦略を示唆した。
社内の会議や打ち合わせでも、東社長が米国の金融史をひもときながら経営を語るのは珍しくない。
スーパー・リージョナル・バンク構想は、米国の「広域地方銀行連合」がモデル。米国ではかつて、州ごとに銀行の事業展開が制限されていたが、規制が緩和されるとM&Aで大型化した“勝ち組”銀行が相次ぎ登場した。構想はそんな再編を日本で再現することを狙う。人口減少で縮小が避けられない国内市場で、地域金融機関は収益力低下が懸念される。数々のM&Aに彩られた米国の経験に、国内の銀行経営者が注目するのも無理もない。
そんな東社長の目に手本として映る米銀がある。ウェルズ・ファーゴ。サンフランシスコの一地銀から出発し、M&Aを通じて今は米銀トップの利益を稼ぎ出すまでに成長した。