楽天は、国の絶滅危惧種「イヌワシ」が生息する森林を再生し生息環境を守る取り組み「楽天の森」を東北6県で展開することを決めた。各県などと協定を結んで間伐や啓発活動を進めるほか、山形県酒田市ではイヌワシの生態調査も行う。森林保全活動は東北6県でスタートするが、将来的には全国に広げていく。
東北6県の間伐は、1県につきそれぞれ1ヘクタール以上の森林を設定し、3年間にわたって実施する。酒田市で行う活動では、イヌワシ調査に実績がある山形大学の協力を得て、定期的な行動観察、餌となる小動物の調査を実施。その取り組みを専用のホームページで公開する。
楽天は、プロ野球「東北楽天ゴールデンイーグルス」のマスコット「クラッチ」がイヌワシをモデルにしていることから、2012年に「クラッチの仲間 イヌワシを守ろうプロジェクト」を開始し、啓発活動に取り組んできた。
楽天によると、このプロジェクトを通じ、高度経済成長期に大規模な森林開発が行われたにもかかわらず、適度な間伐が行われなかったため、太陽光が入らない過密状態にある森が多く存在。空から獲物を狙うイヌワシの減少に影響している事実を把握したという。
楽天の森は、森林における食物連鎖の最上位となるイヌワシが生息できる環境を保つための実践活動という位置付けだ。
活動費は、インターネット上の仮想商店街「楽天市場」への出店者に販売する段ボールの売り上げの一部と、一般からの募金を充てる。楽天も活動費を拠出する。
楽天は「東北以外の地域の自治体にも協力を呼び掛け、早期に全国規模の取り組みにしたい」(CSR部)と話している。