【ベルリン=宮下日出男】フランスの重電大手アルストムは21日に開いた取締役会で、同社エネルギー部門について、米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)に売却することを決定した。共同提案でGEに対抗した三菱重工・独電機大手シーメンス連合は敗れ、争奪戦が決着した。
決定を受け、GEは2015年中に買収手続きの完了を目指す方針を表明。ジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)は同日、「世界的に競争力のある発電・送配電企業をつくり出すため、アルストムと協力するのを楽しみにしている」との声明を発表した。
GEとアルストムは折半出資する合弁企業に、アルストムの送配電、原発関連、再生可能エネルギーの3事業を移す。GEによる買収の評価額は計169億ドル(約1兆7千億円)。仏政府も同時にアルストムの株式20%を取得する。一方、GEは鉄道信号事業をアルストムに売却する。
アルストムのエネルギー部門をめぐっては、GEの買収計画が4月に浮上。シーメンス、三菱重工が対抗し買収合戦に発展した。だが、仏政府が20日、GE案支持を表明し、GEへの売却が決定的となっていた。