□西日本シティ銀行「沖縄クルマエビ・ウナギ事業」(最終回)
■「生みの苦しみ」乗り越え信頼獲得
ファンドを活用して6次産業化事業を立ち上げるには、地域金融機関は事業構想の段階から事業者と一緒になって、事業計測を作り上げていく必要がある。「生みの苦しみ」を伴うこともあるだろうが、出資決定の暁には関係を大きく深めることができる。
西日本シティ銀行がファンドの活用で順調な滑り出しをみせているのは、ファンドの組成以前から積極的に農林漁業の支援に取り組み、地域の事業者と信頼関係を構築していく中で、ノウハウや情報を積み上げてきたからに他ならない。
同行法人ソリューション部コーポレートアドバイザーリーグループで、フロント部門として活動する農業チームの一人、水城保洋副調査役はこう話す。「九州各県と連携した6次産業化のセミナーなどにも力を入れていきたい。セミナーには多くの方が毎回参加され、関心の高さを実感している。こうしたセミナーの出席者の中からも、ファンドの利用者が出てくるのではないか」
温暖な気候と変化に富んだ自然を持つ九州は農業、林業、漁業がいずれも盛んで、各県がそれぞれに地域特性を発揮して1次産業に取り組んでいる。生産品は九州内での消費にとどまらず、関東・関西など全国各地の食卓に届けられており、日本の食糧基地ともなっている。