ガス事業者が早期の全面自由化に懸念を示す背景には、中小業者の多い構造がある。全国10社体制の電力に対し、都市ガス事業者は207社もあり、大手4社が販売量の4分の3を占める。経営余力のない業者が淘汰(とうた)される可能性もあり、ここにきて全面自由化への抵抗感が表面化してきた。
一方、電力業界は全面自由化を視野にすでに新規参入を表明する企業や発電所の建設が相次いでおり、電力各社とも競争力強化にしのぎを削る。
電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は9日の衆院経済産業委員会で「選択の多様化、事業機会の拡大について(電力と)平仄(ひょうそく)を合わせていただくことが大切だ」と発言。16年に電力と都市ガスの全面自由化を同時に実現するよう求めている。