大手電機メーカー傘下のインターネット接続事業者(プロバイダー)が、業績改善に向けた“切り売り”の対象となっている。NECが3月末にビッグローブを売却した。さらに富士通も子会社のニフティの売却を検討している。かつて家電大手の系列プロバイダーは、親会社が生産するパソコンの普及を後押しする存在だったが、国内メーカーのパソコン事業が低迷し、戦略転換を迫られた。パソコン通信の黎(れい)明(めい)期(き)を支えたメーカー系プロバイダーは、黄昏を迎えている。
親会社の都合
「黒字を続けて親会社に貢献してきたのに、あっさり切られるなんて…」
ビッグローブのある幹部は憤りを隠さない。NECは安定した収益を得られる法人向けビジネスに事業の軸足を転換した。個人向けサービスが中心のビッグローブとは事業の相乗効果が得にくくなり、日本産業パートナーズ(JIP)への売却を決めた。
家電大手が系列プロバイダーを売却するのは、市場環境の変化が大きく影響している。家庭用パソコンの普及期において、パソコン通信やインターネットなどのサービスを提供するプロバイダーは、親会社のパソコン販売に貢献する相乗効果を生んだ。