Q 西武HD株の上場時の売り出し価格が、想定価格を大きく下回ったが
A 3月19日に上場が承認されたときの西武HDの想定価格は2300円だった。だが機関投資家などからは、これでは西武HDが出している利益や同業他社の株価と比べて割高だとの声が多かった。株式市場が低調だったことも重なり、今月9日に発表した仮条件は1600~1800円と大幅に下振れした。結局、14日に決まった売り出し価格は1600円と、仮条件の下限で落着した。
Q 他の首都圏の私鉄と比べた企業価値は
A 売り出し価格の1600円に発行済み株式総数を掛けて算出した株式時価総額は5473億円。上場する首都圏の私鉄と比べると、東京急行電鉄(21日終値ベースで8036億円)、小田急電鉄(同6537億円)に続く。西武グループの今の稼ぎ頭は鉄道を中心とした事業だが、高輪・品川など東京23区内に持つ約46万5千平方メートルの広大な土地など、保有資産を生かした成長戦略を具体化できるかが課題となる。
Q 筆頭株主のサーベラスが、保有株の売り出しを見送るが
A サーベラスは西武HD株の35・45%を保有しており、当初は上場時に15・5%程度を売り出し、持ち株比率は20%弱まで下がるはずだった。だが、売り出し価格が想定を大幅に下回ったため、上場後の株価上昇を待って手放す戦略に転じたようだ。サーベラスは西武HD株を平均千円前後で取得したとみられるが、十分な利益を確保するためには2千円程度の株価が必要との観測もある。
Q サーベラスと西武HDの関係はどうなる
A 西武HDは「サーベラスは当社株式のさらなる買い増しを行う意向はなく、事業計画を支持している」としている。とはいえ、サーベラスの持ち株比率は重要な経営事項を株主総会で否決できる3分の1超。上場後に西武HDの株価が浮上しなければ、サーベラスが再び経営への圧力を強めるなどして、昨年みられた双方の対立が再燃する恐れもぬぐえない。