カジノやホテル、ビジネス施設やショッピングモールなど統合型(IR)リゾートを日本にも作ろうという機運が高まってきた。政府の成長戦略の目玉「国家戦略特区」が動き出し、訪日外国人2千万人の目標達成の起爆剤としての期待もかかる。成功例とされるシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」を訪れ、日本に根付くことができるのか、将来像を探った。(藤沢志穂子)
カジノが収入の7割
3月下旬の平日の午後10時過ぎ。マリーナベイ・サンズのカジノは大勢の観光客でにぎわっていた。カジノ部分は4階建て構造で1~2階が一般客向け。バカラなどに挑む姿勢は真剣そのものだが、雰囲気は明るくゲームセンターとも共通する。3階は得意客向け、4階はVIPフロアで一般客は立ち入り禁止。外国人客を入場無料とする一方、シンガポール住民には高い入場税を課すギャンブル抑制策を取っている。
マリーナベイ・サンズは米カジノリゾート運営会社ラスベガス・サンズ(ネバダ州)が2010年に開業。約5千億円を投じた施設は、地上57階建てのビル3棟の最上階に、大型船を模した屋外プールを乗せた構造をしている。延べ床面積は15・5ヘクタール。高級ブランド店が並ぶショッピングモールと国際会議場、約2600室のホテルを併設し、収入の7割以上をカジノが支える。