■施工日数の大幅な短縮化を訴求
--2014年の経営課題は
「4月からの消費税増税に伴い、昨年は住宅の駆け込み需要が発生した。その反動をどのように乗り越えるかが重要だ。税率が8%から10%に引き上げられるときも駆け込み需要や反動減が再び発生し、需要の先食いは間違いない。中長期的な対策を考える必要がある」
--どういった対策が必要となるのか
「出力が10キロワットの太陽光発電システムを搭載できる住宅を昨年10月に販売したところ、1カ月間で170棟も受注できた。やはり決め手は商品力だと手応えを感じている。営業体制も引き続き強化する。昨年は駆け込み需要に対応するため250人を増やしたが、このペースを維持したい。また当社はユニット住宅メーカーなので工場生産比率が80%と高い点を強みとしている。東京五輪までは建設現場の人手不足の問題が改善しないはず。工場化率を高め、現場の内装や配管、配線工事などをより機能的に行えるようにし、施工日数の大幅な短縮化を実現。これを訴求ポイントとして受注活動を進めたい」
--住宅用配管システムなど環境・ライフライン事業の見通しは
「国内は住宅着工が好調なのに加え、復興需要も手伝って、市場環境はまあまあだと認識している。問題は欧州。景気はやっと底を打った感じだが、戦略を手直ししている最中だ。西欧の回復はしばらくかかるとみているが、東欧は老朽化した敷設管の更正需要が好調。アジアではタイなどの公共事業に取り組んでいきたい」
--住宅、環境・ライフラインと並ぶ三本柱の高機能プラスチックス事業も好調だ
「自動車材料、電子材料、メディカルともに13年はグローバルベースで売り上げが拡大した。為替が効いたが数量も伸びた。このうち自動車用ガラスに使用される中間膜については米国の自動車市場が回復したのに加え、中国も鈍化したとはいえ伸びた点が追い風となった。世界6カ国で生産しているが、フル稼働の状況だ。とくに遮音・遮熱機能を備えた高機能タイプの割合が増えており、14年も同様の基調をたどると予測している。
--全社的に海外事業を急ピッチで拡大している
「そのためにグローバル人材の採用に力を入れる必要がある。また、現地の従業員を日本に招き、半年間にわたって教育研修するような取り組みも行いたい」(伊藤俊祐)
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【プロフィル】根岸修史
ねぎし・なおふみ 早大政経卒。1971年積水化学工業入社。取締役、常務、副社長などを経て2009年3月から現職。愛媛県出身。