消費税率引き上げに対応して、公衆電話の市内通話が20年ぶりに実質値上げされる。10円で60秒の通話時間が57.5秒にわずか2.5秒短縮されるだけだが、NTT東日本と西日本にとっては、薄氷を踏む思いの決断だった。公衆電話の設置台数が減少し続けるなか、シミュレーション(模擬実験)通りに消費税増税分を転嫁できるかは不透明だ。収益がさらに悪化すれば、さらなる台数減少は避けられない。
増税転嫁を検討
「(消費税引き上げで)NTTは悩みなく値上げすると思われているようだが、公衆電話に関心を持ってもらいたかった」
11月8日の決算会見で、公衆電話の値上げの検討状況を披露した理由について、NTTの鵜浦博夫社長はこう打ち明けた。
10円を挿入して利用する公衆電話で消費税分を1円単位で徴収するわけにはいかない。鵜浦社長は、10円の通話秒数を短縮しなければならない状況を理解してほしいと考えた。