【滋賀発 元気印】叶匠壽庵 “農工一体”の郷から和菓子文化発信 (1/5ページ)

2013.11.21 05:00

 滋賀県・瀬田川沿いの自然美あふれる「寿長生(すない)の郷(さと)」。果樹栽培と和菓子生産を一体化したこの拠点から「和菓子文化を発信しよう」とするなど、さまざまな取り組みを行う叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)。芝田冬樹社長は「創業数百年の老舗が並び立つ和菓子業界では新参だが、その真逆の“青春企業”としての強みを経営に生かしたい」と若手社員による挑戦に期待を示している。

 ◆里山の風景維持

 創業は1958年。大津市の公務員だった芝田清次氏が同市内の長等地区にあった自宅を工場として和菓子づくりを始めた。82年には創業者の長男、清邦氏が2代目社長を継ぎ、2012年、現社長の冬樹氏が3代目に就任した。

 「寿長生の郷」は、この間の85年に先代の清邦氏が造営した。日本の里山の風景をそのまま残し、自然美あふれる約20万8000平方メートルの広大な敷地に本社をはじめ菓子工場、茶席、川床テラスカフェ、食事処、イベントホール、売店などが並び建つ。周囲は自慢の梅林のほか、およそ800種にも及ぶ自生植物が四季折々に美しい花を咲かせ、実をつける。

 郷を建設した狙いは“農工一体”のモノづくりだ。「老舗との差別化戦略を展開するに当たり、四季を織りなす自然の美しさを生かした和菓子づくりを目指した」と芝田社長は先代の考えを説明する。

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