自動車と最先端のITを組み合わせ、交通事故の減少や渋滞緩和などを図る高度道路交通システム(ITS)の世界会議が東京・有明の東京ビッグサイトで始まった。自動車各社は17、18日の一般公開を前に15日、ドライバーが操作をしなくても走る自動運転技術などを公開した。
日本自動車工業会の豊田章男会長はこの日、会場で「自動運転で交通事故死をゼロにしたい。新興国でも大気汚染や渋滞、事故を最少化する」と語った。
すでに開発を表明していたトヨタ自動車や日産自動車に加え、同日はホンダが自動運転車を初披露した。あわせてホンダは、駐車場の監視カメラのデータを使い、自動運転車が無人で駐車場の空きスペースに入る技術も公開した。
また、スズキやマツダは、二輪車などが発信した位置情報を車が受信し、交差点での巻き込み事故を防ぐ取り組みを紹介した。
このほか、信号や標識などに組み込んだ機器から渋滞や故障車などの交通情報を発信し、事故防止をはかる研究なども進んでいる。
ただ、普及に向けた課題も少なくない。日米欧の自動車6社の開発責任者らが出席した同日の討論会では、「事故の責任が運転手から自動車メーカーに転嫁される。普及するにはさまざまなステップが必要だ」などの意見が上がった。
誤った位置情報などが意図的に送られる事態も想定され「ハッキングも問題になる」(大手コンサルティング会社)との指摘もある。