ただ、世界の航空業界では格安航空会社(LCC)や中東の航空会社などが勢力を拡大させるなど競合が激化している。板崎氏は「来年春に配分される羽田空港の国際線発着枠で一つでも多くの枠を獲得し、いかに自社の収益増につなげられるかが課題だ」と分析する。
羽田空港の国際線発着枠は現在年間6万回だが、来年3月末に昼間帯の発着枠が3万回増える。1日当たり約40枠の計算で、日本の航空会社には半分の約20枠が配分される見通し。国交省は今月末か10月初めに配分を決める方針だ。
ANAHDは、公的支援を受けて再生した日航との競争条件を対等にする方策の一つとして、「極力多く(発着枠を配分して)ほしい」(伊東社長)と、自社への優先配分を主張。一方の日航は「(日航と全日空に)均等に配分することで、健全な競争が成り立つ」(幹部)と、真っ向から対立している。
東京都心から近く、利便性の高い羽田空港の国際線は、昼間の1枠で年間十数億円の営業増益につながるとされる「ドル箱」。両社とも譲る気配はなく、国交省は難しい判断を迫られる。