経営再建中の三菱自動車が2013年度中に2000億円規模の公募増資を実施する方向で調整していることが12日、分かった。調達する2000億円で、三菱重工業や三菱商事など三菱グループ4社が保有する3800億円の優先株の大半を買い入れ消却する見通しで、財務体質の改善につなげる。
優先株は、議決権がない代わりに、配当を優先する必要がある。三菱自の優先株は、普通株に優先して額面の5%を配当する条件になっていたが、配当負担が約190億円と重く、復配を目指す同社にとって経営の足かせになっていた。
三菱自は、13年度内に復配のめどをつけたい考えだが、優先株への配当も行えないうえ、1997年度の中間配当以来、無配が続いている。このため、公募増資で調達した資金で優先株を処理し、復配への環境を整えることにした。
三菱自は、2000年にリコール(回収・無償修理)隠しが発覚し、04年に筆頭株主だったダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)からの追加支援を打ち切られ経営難に陥った。この際に発行した優先株を、三菱グループなどが引き受け、現在は三菱グループの実質的な管理下にある。