同大の教授も共感し、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者につないでもらえた。興味を示したJAMSTECが協力を約束したことから話はトントン拍子で進み、異業種16社からなるプロジェクトに発展した。
日本の海底探査機は部品から何からすべて外国製。国内大手メーカーに開発を頼んでも歯牙にもかけてくれない。このため高額の海外製を買ってくるのだという。JAMSTECの研究者の話を聞いた杉野さんたちは「もったいない。ぜひわれわれの力で」と刺激を受けた。
資金難で立ち往生
ところが、簡単にはいかなかった。最初に設計した探査機はチタン製ボディーで自走式の車のような形状だった。開発費を試算すると材料費で2億円、工賃などその他を入れると5億円かかるという。そんな資金は出せない、と参加企業は減り、最後は杉野ゴム化学工業所だけとなった。
立ち往生した杉野さんがJAMSTECに相談すると、良いアイデアを話してくれた。海洋のブイとして使われる市販の耐圧ガラス球は水深8000メートルの水圧に耐えられるはずだという。
これを基に探査機を作れば重りで深海底まで沈み、作業を終えたら重りを切り離して、浮上した探査機を船で回収すればいい。設計コンセプトも海底で自動で画像を撮り、泥などを採取することだけに機能を絞り込むことにした。