新日鉄住金は29日、同社鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)の製銑地区センター(事務所)について、津波に強い構造に改築する工事に着手したと発表した。東日本大震災での被害を踏まえ、周辺で働く人の安全や安心を確保する目的だ。
新日鉄住金によると、今回、同センターに採用されるのは、下層階部分から壁を取り払い、柱だけの吹き抜けにする「ピロティ構造」方式。一気に押し寄せる津波の破壊力を下層階部分で受け流し、建物全体へのダメージを軽減する仕組みだ。
東日本大震災の被害調査結果に基づき、内閣府により昨年2月に見直された「津波避難ビル等に係るガイドライン」の中でも、同方式の有効性が追加されており、日本鉄鋼連盟でも同方式を積極的に提唱している。
来年8月に完工予定の同センターは海抜約5メートルの地点にあり、地上3階建て。このうち、1、2階部分にあたる高さ約8メートルの層の大半は吹き抜け構造。その上に高さ約5メートルの事務所部分が建てられる見込み。