【採用担当者のホンネ】資生堂 人事部人材開発室採用グループリーダー課長・三輪英子さん
東京・汐留の資生堂本社事務所。ロビーで目立つのはスッと背筋を伸ばした社員らが行き交う姿だ。
「少しでもお客さまをきれいにしたいという気持ちが社員にはある。私も入社試験で化粧品や生活用品など身近なものを手がけたいと言ったのを覚えている」と人事部人材開発室採用グループリーダーの三輪英子課長は話す。
女性が働きやすいことで就職人気が高い企業だが、「お客さまに価値を提供する気持ちを持っている人」を待っている。自分本位で考えている人は面接ですぐに分かるという。
基幹を担う総合職として入社したのは2012年度が98人、13年度は88人。男女比率はほぼ半々だ。春と夏に選考を行っており夏は主に海外留学からの帰国者を想定している。14年度は約60人に絞り込む予定だ。
総合職事務系は(1)営業(2)スタッフ(法務、人事、情報システムなど)(3)財務・経理(4)マーケティング-の4領域、技術系は「研究・生産・技術」「生産エンジニア」の2領域に分けて選考する。
このうち「営業」は13年度入社から枠組みを設けた。最も採用人数の多い主力部門で、入社から約10年は国内各地の営業拠点で働く覚悟を持ってもらう。
「ある意味でスパルタ。営業拠点も出身地や出身学校の所在地をあえて外して配属する」。何もないところから対人関係を作り出し、ビューティーコンサルタント(美容部員)や得意先と連携し、求められているモノやサービスを探り出す。こうしてマネジメント能力と提案力が徹底的に鍛えられていく。
資生堂ブランドの商品は海外89カ国・地域に展開しており、海外売上高比率は44.9%(12年度)。「ここ数年で海外売り上げがぐっと伸びている」という。一方、強みとしてきた国内の中価格帯の化粧品市場には韓国など海外化粧品が進出、通販などのライバルも増えている。
それだけに「優秀な人よりも成果の出せる人。今までにどんな成果を出したかが重要で、それを入社してからも生かせるかどうかを見る」と選考基準を語る。「外国語能力よりも多様性を受容できることの方が大切」とも。三輪氏もマーケティングや商品開発を経験、中国専用ブランド「AUPRES(オプレ)」など人気商品にも携わった。その経験から「巻き込み力を持った人に来てほしい」という。 (高梨美穂子)