森永乳業が、海外事業を本格化させる。人口減少などで乳製品の国内市場が縮小する中、売り上げに占める海外比率を、現在の3%から大幅に引き上げる方針。乳製品そのものの輸出は難しいが、新興国を含め世界的に健康志向が高まる中、免疫力を高める効果が期待される「ビフィズス菌」を核とした技術力を武器に、現地企業などとの提携により原料販売などを拡大したい考えだ。
味と機能性両立
仕事納めが押し迫った昨年12月18日。神奈川県座間市にある森永乳業の食品基盤研究所に、突如、“朗報”が舞い込んできた。それは、食品技術分野で世界的にも権威のある「農芸化学技術賞」を、同社のビフィズス菌の研究・開発技術が受賞したという知らせだった。
「これは海外に森永乳業の技術力を示すチャンスだ」。技術開発の責任者である生物機能研究部の清水金忠部長は、受賞時の興奮をそう振り返り、世界に通用する技術の確立に確かな手応えを感じたという。