東京電力は30日発表した2013年3月期決算で、14年3月期の業績見通しを「未定」とした。同期は経営再建計画で黒字転換を掲げた節目の年だが、前提となる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働見通しが立たない。3期連続の経常赤字ともなれば銀行から新規融資を受けるのも難しくなるだけに、政府の追加支援や電気料金の再値上げといった資金繰り策の検討がいよいよ本格化しそうだ。
「3期連続の赤字はありえない。とにかく黒字化は達成する」。東電の広瀬直己社長は30日の会見で語気を強めた。
東電は昨年5月に政府の認可を受けた経営再建計画「総合特別事業計画」で、22年3月期までの収支見通しを立てた。そのなかで14年3月期の経常損益は約1000億円の黒字転換を掲げている。本来なら通期見通しに明記すべき目標だが、「未定」にせざるをえなかったことで経営陣には焦りがにじむ。
最大の誤算は柏崎刈羽原発の再稼働の遅れだ。原子力規制委員会の新しい安全基準策定が長引き、4月から全7基を順次再稼働させる予定がまだ審査にも入れていない。