シェールガス革命が石油化学業界にビジネスモデルの転換を迫っている。シェールガスは発電用燃料のほか、石油由来のナフサ(粗製ガソリン)に代わる化学品の基礎原料として注目されているが、一方でシェールガスから作れないブタジエンなどの化学品の安定確保が懸念されている。そこで、石化各社はナフサの生産が将来しぼんでも、こうした化学品を作れる新製法の開発、事業参入の動きを相次いでみせている。国内の石化コンビナートの競争力向上、生き残りの切り札として、動きがさらに広がる可能性がある。
ナフサ縮小のあおり
「構造改革の手は緩めない」
昭和電工が2月に開いた2012年度の本決算説明会。市川秀夫社長は、シェールガス革命が押し寄せていることを念頭に厳しさを増す石化事業についてこう力強く言い切った。市川社長は「大分コンビナート(大分市)の生き残りをかけ、競争強化策を徹底的に実施している」と話し、その施策の一つとして、新製法によるブタジエン参入を計画していることを“宣言”した。