牛丼値下げ競争“勝者なき消耗戦”だった 客離れ対策に決め手なし (3/3ページ)

2012.7.25 05:00

牛丼大手3社既存店売上高の対前年同月比増減率

牛丼大手3社既存店売上高の対前年同月比増減率【拡大】

 コンビニ各社は、東日本大震災後に来店が増えた女性やシニア客を取り込もうと、プライベートブランド(PB=自主企画)の総菜、弁当の品ぞろえを強化し、パック入り「牛丼の具」まで取り扱っている。

 吉野家HDの鵜沢武雄執行役員は「スーパー、コンビニの総菜コーナーは日増しに充実しており、最大の脅威」と危機感を隠さない。実際、吉野家ではスーパーなどが総菜の販売を強化する夕方以降に、客数、売上高が減少する傾向という。

 新たなライバルとの競争に対応し、成長路線に復帰するために、3社とも商品や店舗開発の見直しを急ぐ。

 吉野家は、男性や女性、家族層などターゲット別の戦略を強化する。女性や家族連れが入りやすい店舗を研究し、その第1弾として、内装やどんぶりも既存店とはまったく異なる新型店舗を、8月1日に埼玉県川越市にオープンする。忙しいビジネスマン向けに、メニュー数を絞って素早く提供する「築地吉野家」も拡大する。

 すき家は、主力の牛丼以外の商品を値下げし、集客を狙う。3商品を交代で値引きする新たなキャンペーン「得すき」を始めたほか、朝食メニューで200円と格安の「たまごかけご飯朝食」を投入した。松屋も牛丼以外の定食の価格を引き下げたほか、コストを下げるため豪州産のコメを導入する一方、出店地域の拡大も急ぐ。

 超円高や消費増税による景気の不透明感で、消費者の目線は厳しさを増す。「安いだけでは売れない。価値のある商品に相応のお金を払う傾向が強まった」(流通関係者)との指摘もある。「低価格」を最大の武器にしてきた牛丼などのファストフード店の選別は、これからが正念場だ。(金谷かおり)


「ステーキのどん」でステーキ食べ放題