地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO2)の回収・分離技術が進化している。東芝は、発電と同時にCO2を分離・回収できる新火力発電の開発に乗り出したほか、三菱重工業が従来より6倍の効率で回収できる発電プラントを開発した。
日立製作所やIHIもCCSと呼ばれる分離・回収技術の確立を目指す。米国が今年3月に発表した温暖化ガス排出規制案の中で、今後、排出量の多い石炭火力発電所にCO2回収装置の導入を盛り込むなど世界的に規制が厳しくなる中で、日本勢の技術が世界にアピールできそうだ。
東芝は、発電とCO2の回収が同時に行えるシステムについて、米電力大手のエクセロンと米ベンチャーのネットパワー、米エンジニアリング大手のショー・グループと共同開発中だ。このシステムは、天然ガスを燃焼させて発電後、タービンから排出されたガスを冷却、水分を分離したCO2を高圧ポンプで圧縮する仕組み。大部分のCO2は燃焼器に循環されるが、燃焼により発生したCO2はそのまま回収できる。
CCSと呼ばれる高価な装置を設置することなくCO2の回収が可能で、「低コスト化を実現できる」(同社担当者)のが特徴。共同開発では、東芝がシステムの鍵を握る高温・高圧のタービンと燃焼器を担当。同社独自の高温タービン用材料技術を使うほか、燃焼・冷却技術を応用する。