業績が悪化している半導体大手ルネサスエレクトロニクスは3日、5000人規模の人員削減や国内9カ所の生産拠点を閉鎖・売却することなどを柱とする経営再建策を正式に発表した。生産拠点の整理・統合で事業効率を高めると同時に、世界シェアの約3割を握るマイコン事業に経営資源を集中させ収益改善を急ぐ。
都内で記者会見した赤尾泰社長は、工場の売却・統廃合など、合理化の実行時期について「3年以内をめどに進めようとしている」と説明した。
売却・統廃合の対象は、国内18工場のうち青森(青森県鶴田町)など東日本5カ所と、福井(福井県坂井市)など西日本4カ所。津軽工場(青森県五所川原市)は既に1日付で富士電機に売却。鶴岡工場(山形県鶴岡市)は半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と売却交渉を進めている。
人員削減は、まず9月までに早期退職者を約5000人募集。自然減も合わせて、最終的な削減数は1万4000人に上る見込み。
中国などに業務移管
一連のリストラ費用として、ルネサスの母体で大株主のNEC、日立製作所、三菱電機3社から計500億円の支援を受けるほか、取引銀行の融資枠500億円を活用する。
ルネサスは、日立と三菱の半導体事業を2003年に統合し、さらに10年、NECの半導体子会社と統合して現在の形になった。業績悪化の背景には各地に分散する3社の工場をそのまま継承したことによる過剰生産体制があり、今回はその負の資産に抜本的にメスを入れる。人手のかかる半導体の組み立てや検査を行う「後工程」の工場を中心に閉鎖・売却。高度な技術を要し半導体回路をウエハー上に形成する「前工程」は、主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)などに集約する。