ソニー、パナソニック 五輪向け業務用カメラで最新技術確立へ

2012.4.6 05:00

最新技術を盛り込んだソニーの業務用ビデオカメラ=東京都港区

最新技術を盛り込んだソニーの業務用ビデオカメラ=東京都港区【拡大】

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 テレビ事業の不振に苦しむソニーとパナソニックが今夏のロンドン五輪に向け、フルハイビジョン(フルHD)の4倍の解像度を誇る「4K」技術や3D(3次元)撮影など、最新機能を搭載した業務用ビデオカメラ技術の実用化を加速させている。スポーツの激しい動きをとらえる先端技術を確立させることで、一般ユーザー向け事業の収益改善につなげたい考えだ。

 「高品質で先進的な(業務用ビデオカメラの)技術を消費者向けに活用する」

 平井一夫社長は東京都内で5日開いた業務用放送機器の新製品発表会で、業務用と消費者向け製品の連携を強調した。

 ソニーは4K撮影に対応する業務用ビデオカメラ「NEX-FS700」シリーズを6月末に発売する。4K対応のため画像処理用半導体のCMOSセンサーを新開発した。4K映像を映すテレビの開発を進めており、消費者向けのハンディカムの新製品にも応用する考え。希望小売価格は77万7000~84万円。

 ロンドン五輪の公式スポンサーであるパナソニックも、五輪向けの業務用3Dビデオカメラを販売している。動きの激しい3D映像の撮影技術を着々と実用化させており、3D放送の普及を通じて、3Dテレビなどの販売拡大につなげる。

 現在公開中の映画「ウルトラマンサーガ」でも、同社の小型の3Dビデオカメラが撮影機器として使われており、使用シーンは着々と拡大している。

 パナソニックの津賀一宏次期社長はテレビ事業について「何としても回復させる」と不退転の決意を示している。4年に1度のスポーツの祭典は「テレビ不況」を抜け出すチャンスの一つといえ、業務用製品の成否がその試金石にもなりそうだ。