ソニー、シャープ堺工場への追加出資見送り 資本提携解消も視野に

2012.3.29 05:00

企業の注目ニュース

 ソニーとシャープは28日、大型液晶パネルを扱うシャープの堺工場を運営する共同出資会社「シャープディスプレイプロダクト(SDP)」(堺市)について、ソニーの追加出資を見送ることで合意したと発表した。

 シャープはSDPの株式約46.5%を台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業側に譲渡することを決めており、ソニーは資本提携の解消も視野に入れながら、既存出資分の扱いを9月末までに決める。

 ソニーは2009年7月にSDPの株式約7%を100億円で取得。11年4月末までに最大34%まで出資比率を引き上げることで合意していたが、テレビの価格下落やパネルの供給過剰で事業の見直しを迫られ、3月末に期限を延ばして協議していた。

 ただ、テレビ事業が12年3月期に8年連続の赤字となる見込みのソニーは、韓国サムスン電子との液晶パネル生産の合弁事業を1月に解消。台湾メーカーなどの割安なパネルの調達を増やし、コストを年約500億円減らす方針に切り替えており、追加出資は不要と判断した。

 一方、シャープは電子機器の受託製造で世界最大手の鴻海との資本・業務提携を決め、パネルの一定量を鴻海側に供給するなど堺工場の安定運営にめどがついたことから、追加出資の見送りを受け入れたもようだ。

 両社の契約には、シャープが保有するSDPの株式を第三者に譲渡する場合、ソニーが保有株の買い取りを請求できるという条項が盛り込まれており、ソニーが既存の出資分をシャープに売却する公算が大きい。

 一方、28日の東京株式市場ではシャープの株式に買い注文が殺到。鴻海との提携で液晶事業の立て直しが進むとの思惑から前日比75円高で上昇率約15%の570円と値幅制限の上限となるストップ高で取引を終えた。