4月1日付で就任するシャープの奥田隆司次期社長(58)は19日、フジサンケイビジネスアイなどのインタビューに応じ、業績を圧迫している主力の液晶パネル事業について、「テレビ以外の用途の市場を開拓していく」と述べ、収益性の高い電子黒板やパソコン用モニター向けなどに注力していく考えを示した。これによって、当面は従来の生産規模を維持していく方針だ。
かつては稼ぎ頭だったシャープの液晶パネル事業は、2011年4~12月期に137億円の営業赤字に陥っている。奥田氏は12年度の液晶テレビの世界需要は横ばいで推移するとの見通しを示したうえで、「堺工場(堺市堺区)の生産を伸ばすため、(液晶パネルの)大型化比率を高める」と述べた。
液晶パネルは世界景気の減速から需給が悪化し、シャープも堺工場で12年1~3月期に50%の減産体制を強いられている。だが、堺工場は60型以上の大型パネルを低コストで生産できる強みがあることから、米国で高いシェアを占める超大型テレビに加え、オフィス・教育現場向けの電子黒板「ビッグパッド」などの非テレビ向けを伸ばし、液晶パネル生産量を引き上げていく考えだ。
液晶パネルと同様に、11年4~12月期に赤字となった太陽電池事業については「太陽電池パネルの販売だけでなく、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の設計・据え付け、IPP(独立発電事業者)としても展開し、今一度成長事業に位置づける」と述べた。
同社は液晶テレビの不振などで、今3月期に過去最悪となる2900億円の連結最終赤字に転落する見通し。これを受けて、今月14日に海外事業統括の奥田常務執行役員が社長に昇格する人事を発表していた。(田端素央)