ハード不振、ネット配信も不透明 苦境にあえぐ任天堂に復活の道は? (2/2ページ)

2012.2.7 05:00

 3DSは昨年4~12月で1143万台を販売したが、目標の1600万台を1400万台に下げざるを得なかった。ハードがだめならソフト販売で利益が求められるが、こちらも5000万本から3800万本に大きく下方修正した。

 無料ゲームに劣勢

 任天堂が苦しめられているのは、顧客動向の変化が最大の要因だ。携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)で基本的に無料で楽しめるソーシャルゲームが世界的に流行。専用のゲーム機を買って楽しむ層に影響している。これに加え、ゲーム専用機向けソフトでもインターネットなどを通じて対戦プレーやデータ交換など楽しみ方が増え、「昔よりも一本のソフトで長く遊ぶ傾向が高まっている」(大手ゲームメーカー幹部)。

 ただ、岩田社長は新たなネット配信事業について、「(自社ソフトは)単体で楽しめることが前提。知らずに課金が高額になることのないシステムにする」と、ソーシャルゲームのような追加コンテンツの購入で収益をあげるビジネスモデルは否定的だ。

 このため、「ソーシャルゲームのビジネスモデルに問題があるのは分かるが、(業績)落ち込みをカバーする方法がみえない」(アナリスト)と疑問の声も上がる。岩井証券イワイ・リサーチセンターの有沢正一センター長も「現状では配信事業の方向性や事業展望が明確ではなく、欧米市場向け販売戦略にも抜本的な対策がみられない」と手厳しい。

 年末に発売予定のWiiの後継機「Wii U」にも期待がかかるが、価格競争の面から厚い利益を見込んだ価格設定は難しい。かつてゲーム機で世界を席巻した任天堂の次の一手は何か。業績回復に向けた“解”はまだみえない。(伊豆丸亮)