赤字転落見通しの任天堂 配信事業やWiiUの年末発売で巻き返し図る

2012.1.26 22:46

 平成24年3月期の連結営業損益が初の赤字に転落する見通しとなった任天堂。大阪市内で26日に会見した岩田聡社長は来年度に向け、携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」事業ののテコ入れや、新型の家庭用ゲーム機「Wii U(ウィー・ユー)」を今年の年末商戦に投入する考えを表明するなど、矢継ぎ早に攻めの戦略を繰り出した。

 任天堂が、本業のもうけである営業損益で赤字予想に追い込まれた背景には、「3DS」の値下げがある。採算性を犠牲にしたため、ゲーム機の本体販売では売っても赤字という「逆ざや」状態に陥ったためだ。

 しかし、岩田社長は強気の見通しだ。「3DS」事業は来年度前半にはこれまでの生産経験を反映することで、採算性の改善が見込めるとみている。また、有力ソフトを継続して投入することで市場の勢いを維持させる。

 これまで割合の低かったゲームの追加コンテンツなどをインターネットを通じて販売する配信事業も拡大する。一部のダウンロード専門ソフトについて近日中に対応するほか、通常のソフトについては2月16日発売の「シアトリズム ファイナルファンタジー」(スクウェア・エニックス)から対応する。

 さらに、世界で累計9497万台を売り上げている家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」の後継機「Wii U」を日本や欧米、豪州で年末商戦に合わせて発売する。

 市場では「年末商戦で3DSが好調に売れたものの、業績を挽回するまでには至らなかった。ただ来年度は3DSが収益に貢献し、黒字に転換するだろう」(SMBC日興証券の前田栄二シニアアナリスト)と指摘する声が多く、人気ソフトの投入など、ゲームの「楽しみ方」のテコ入れが改革の成否を分けそうだ。